

子どもの教育費を準備しながら、自分たちの老後資金もためる。言葉にすると簡単ですが、毎月の家計の中で両方を進めるのは、なかなか大変です。
世田谷区で子育てをしていると、住居費に加えて、習い事や塾、通学などの費用がかかる家庭もあります。教育費を優先すると老後が心配になり、老後のために貯金を増やそうとすると、子どもに十分なことをしてあげられない気がする。そんなふうに迷う方もいるでしょう。
ただ、最初から大きな金額を用意しようとしなくても大丈夫です。
教育費と老後資金は、必要になる時期が違います。家計を分けて考え、優先順位をつけると、今できることが見えやすくなります。
この記事では、世田谷区で教育費や老後資金に不安を感じている方に向けて、無理なく家計を整える考え方を紹介します。
まず「いくら必要か分からない」状態を減らす
教育費や老後資金が不安になる理由の一つは、必要な金額が見えにくいことです。
インターネットで調べると、何千万円必要といった大きな数字が並んでいます。けれども、必要な金額は、進学先や住まい、働き方、年金額、退職時期などによって変わります。
ほかの家庭の目標額を、そのまま自分の家庭へ当てはめる必要はありません。
まずは、次のように分けて考えてみましょう。
教育費が必要になる時期
老後生活が始まる時期
現在の貯蓄額
毎月積み立てられる金額
利用できる公的制度や勤務先の制度
住宅ローンなど今後も続く支払い
正確な金額を一度で出すことより、大まかな時期と家計の流れを確認することが大切です。
教育費は子どもの年齢ごとに考える
教育費は、子どもが生まれてから大学を卒業するまで、同じ金額が必要になるわけではありません。
保育料や給食費、習い事、塾、受験料、入学金、授業料など、必要になる費用は成長とともに変わります。
まず、子どもの現在の年齢と、進学する時期を書き出してみましょう。
小学校入学
中学校入学
高校入学
大学や専門学校への進学
自宅外通学を始める可能性
特に入学する年は、授業料だけでなく、制服や教材、パソコン、通学定期、受験料などが重なりやすくなります。
文部科学省の「子供の学習費調査」では、学校教育費だけでなく、給食費や学校外活動費も含めた平均的な支出が公表されています。公立か私立かによって金額には大きな差があるため、進路を一つに決めつけず、いくつかのケースで考えるとよいでしょう。
教育費は三つのケースを作ると考えやすい
将来の進路を小さいうちから正確に決めることはできません。
そこで、教育費は一つの金額に絞らず、三つほどのケースを作ってみると考えやすくなります。
たとえば、次のような分け方です。
公立を中心に進学する場合
一部で私立を選ぶ場合
私立や自宅外通学も含めて考える場合
どのケースを目標にするかは、家庭の考え方や子どもの希望によって変わります。
まずは公立中心の場合に必要な金額を準備し、余裕ができたら選択肢を広げる方法もあります。最初から最も高いケースを目標にすると、毎月の生活や老後資金が苦しくなる場合があるためです。
進学が近づいたら、希望する学校の入学金や授業料、通学費を調べ、計画を具体的にしていきましょう。
世田谷区では通学や習い事の費用も見ておく
世田谷区内には多くの学校や学習塾がありますが、住んでいる地域や進学先によっては、電車やバスを使って通学することになります。
小田急線、京王線、東急田園都市線、大井町線、世田谷線など、利用する路線によって通学経路や定期代は変わります。
学校へ納める費用だけでなく、次のような支出も考えておきましょう。
電車やバスの通学定期
駅までの駐輪場代
塾や習い事の月謝
模試や受験料
部活動の用具や遠征費
スマートフォンやパソコン
昼食代
大学進学後の一人暮らし費用
習い事や塾は、周囲が通っていると減らしにくく感じるかもしれません。
ただ、家計が苦しくなるほど増やす必要はありません。本人が続けたいものや、家庭で大切にしたいものを話し合い、優先順位をつけることも必要です。
教育費をすべて親だけで用意しようとしない
子どもの教育費は、すべて親の貯金だけで準備しなければならないわけではありません。
進学先や世帯の収入などによっては、授業料の減免、給付型奨学金、貸与型奨学金などを利用できる場合があります。
日本学生支援機構の奨学金には、返済が必要な貸与型と、原則として返済が不要な給付型があります。また、高等教育の修学支援新制度では、給付型奨学金と授業料・入学金の減免が組み合わされています。対象要件があるため、進学前に学校や公式サイトで確認することが大切です。
貸与型奨学金は、子ども本人が卒業後に返済する借金でもあります。
利用する場合は、月々いくら借り、卒業後にどのくらいの返済が続くのかを、親子で確認しておきましょう。
「奨学金があるから何とかなる」と考えるのではなく、貯金、公的支援、奨学金、本人のアルバイトなどを組み合わせて考えると、負担が一か所に集中しにくくなります。
世田谷区の就学支援も確認する
世田谷区では、経済的な理由で就学に必要な費用の負担が難しい家庭に対し、就学援助費などの制度を案内しています。学用品費や給食費など、対象となる費用や申請条件は年度によって確認が必要です。
制度には所得などの要件があり、申請すれば必ず利用できるとは限りません。また、申請期限が決められているものもあります。
生活が苦しくなってから慌てて探すより、学校から配布される案内や世田谷区の公式サイトを早めに確認しておくと安心です。
収入が急に減った場合などは、当初対象外だった家庭でも相談できる可能性があります。自分の家庭は該当しないと決めつけず、学務課や学校へ問い合わせてみてください。
老後資金は年金の見込額から考える
老後資金について考えるとき、最初から必要総額を決めようとすると、数字が大きすぎて不安になりやすくなります。
まずは、将来受け取れる公的年金の見込額を確認しましょう。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、現在の加入状況が続いた場合のほか、今後の働き方や受給開始年齢などを設定して、将来の年金見込額を試算できます。
年金の見込額が分かったら、老後に必要になりそうな生活費との差を考えます。
毎月の生活費が25万円、年金などの収入が20万円なら、差額は5万円です。この差額が老後資金として準備したい金額の一つの目安になります。
ただし、実際の生活費や年金額は変わる可能性があります。最初から細かく計算しすぎず、数年ごとに見直していきましょう。
老後の住居費を忘れずに考える
老後の家計で大きな違いが出やすいのが住居費です。
持ち家で住宅ローンを完済していても、固定資産税や管理費、修繕積立金、建物の修繕費などは続きます。
賃貸住宅では、家賃や更新料を払い続けることになります。年齢を重ねてから住み替える可能性があるなら、引越し費用も考えておきたいところです。
世田谷区に住み続けたい場合、今の住まいが老後の暮らしに合うかも確認してみましょう。
階段の上り下りに負担がないか
駅やバス停まで無理なく歩けるか
病院やスーパーへ行きやすいか
車を手放したあとも生活できるか
住宅ローンは退職前に完済できるか
建物の修繕費を準備できているか
老後資金は食費や医療費だけでなく、住まいを維持するためのお金も含めて考える必要があります。
教育費と老後資金は口座を分ける
教育費と老後資金を同じ口座でためていると、どちらがどのくらい準備できているか分かりにくくなります。
できれば、目的ごとに分けて管理しましょう。
日常生活に使う口座
急な出費に備える口座
教育費をためる口座
老後資金を準備する口座
銀行口座を何個も増やすのが面倒なら、家計簿アプリや表計算で目的別の残高を記録する方法でも構いません。
大切なのは、教育費のためにためたお金を生活費へ使い続けたり、老後資金を知らないうちに取り崩したりしないことです。
目的が見えると、少額でも積み上がっている実感を持ちやすくなります。
先に生活を守るお金を用意する
教育費や老後資金の準備を始める前に、急な出費に備えるお金も必要です。
家電の故障、病気やけが、収入の減少、急な引越しなどが起きたときに、すぐ使える預貯金がないと、教育費や老後資金を取り崩すことになります。
また、投資している資産を値下がりしている時期に売らなければならないこともあります。
生活を守るためのお金は、値動きのある商品ではなく、必要なときに引き出しやすい預貯金で用意するほうが安心です。
必要な金額は家庭によって違います。まずは1か月分の生活費を目標にし、できたら少しずつ増やす方法でもよいでしょう。
大きな目標を立てて何も始められないより、毎月続けられる金額から始めることが大切です。
余ったらためるより先に分ける
毎月余ったお金を貯金しようと思っても、生活しているうちに使ってしまうことがあります。
給料日に教育費と老後資金を先に分け、残ったお金で生活する方法のほうが続けやすい場合があります。
たとえば、毎月3万円を積み立てられるなら、教育費に2万円、老後資金に1万円など、必要になる時期に合わせて分けます。
教育費が必要になる時期が近い家庭では、教育費を多めにすることもあります。子どもがまだ小さく、老後まで時間がある場合は、両方を少額ずつ始める方法も考えられます。
毎月同じ金額を続けるのが難しい場合は、最低額を小さく設定し、ボーナスや臨時収入があったときに追加する方法でも構いません。
無理な金額を設定し、数か月で積み立てをやめるより、少額でも続く仕組みを作るほうが家計を整えやすくなります。
教育費を優先しすぎて老後資金をゼロにしない
子どものことを考えると、教育費を最優先にしたい気持ちは自然です。
ただ、老後資金の準備を長期間止めてしまうと、子どもが独立してから短い期間で大きな金額を用意しなければならなくなります。
教育費には、奨学金や授業料減免、進学先の選択など、いくつかの方法があります。一方、老後の生活費を子どもに頼ることになると、子どもの家計にも負担がかかります。
教育費を十分に用意できないことに罪悪感を持つ必要はありません。
家庭で負担できる範囲を子どもにも伝え、進路を一緒に考えることも大切です。老後資金を少額でも積み立てながら、教育費の準備を進めるほうが、家族全体の安心につながります。
投資を使うなら必要になる時期を見る
教育費や老後資金を準備するために、NISAなどを利用した資産形成を考える方もいるでしょう。
投資には、預貯金より大きく増える可能性がある一方で、元本割れの可能性があります。
数年以内に必要になる入学金や授業料をすべて投資に回すと、必要な時期に値下がりしていることがあります。使う時期が近いお金は、預貯金など値動きの小さい方法で準備するほうが安心です。
一方、老後まで長い期間がある資金については、家計に余裕があれば、長期・積立・分散を意識した運用を検討する方法があります。金融庁も、投資には元本割れのおそれがあることを示したうえで、長期・積立・分散を資産形成の基本として案内しています。
投資を始めるときは、生活費や近い将来に使う教育費まで回さないことが大切です。
iDeCoは引き出せる時期に注意する
老後資金の準備では、iDeCoを検討する方もいます。
iDeCoには税制上のメリットがありますが、老後の資産形成を目的とした制度のため、原則として60歳になるまで資産を引き出せません。
教育費や住宅の修繕費など、60歳前に必要になる可能性があるお金を多く入れすぎると、家計が苦しくなっても使えません。
掛金を決めるときは、税金の負担が軽くなる部分だけでなく、途中で引き出せないことも考えましょう。
子どもの進学が近い家庭や、手元の貯金が少ない家庭は、すぐ使える預貯金を優先したほうがよい場合もあります。
住宅ローンや借金とのバランスを見る
教育費と老後資金をためていても、金利の高い借り入れがあると、家計全体では負担が大きくなることがあります。
カードローンやクレジットカードのリボ払いなどを利用している場合は、積み立てを増やす前に、返済状況を確認しましょう。
住宅ローンについては、急いで繰り上げ返済をした結果、教育費や急な出費に使える貯金がなくなることもあります。
返済と貯蓄のどちらを優先するかは、借入金利や残高、手元資金、子どもの年齢などによって変わります。
どちらか一方にすべて回すのではなく、生活を守るお金を残しながらバランスを考えることが大切です。
夫婦でお金の前提をそろえる
教育費や老後資金について、夫婦で考え方が違うことは珍しくありません。
私立へ進学させたい、できるだけ公立で考えたい、老後も世田谷区に住み続けたい、退職後は別の地域へ移りたい。こうした考え方によって、必要なお金は変わります。
話し合うときは、いきなり節約の話から始めるより、どんな暮らしをしたいかを確認すると進めやすくなります。
子どもの進学についてどう考えているか
親が負担する教育費の範囲
何歳ごろまで働きたいか
老後も今の住まいに住むか
親の介護をどう考えるか
毎月いくらなら無理なく積み立てられるか
意見が違っても、すぐに結論を出す必要はありません。
まずは現在の貯蓄額や将来の予定を共有し、できるところからそろえていきましょう。
今から始めるならこの順番で考える
何から手をつければよいか分からない場合は、次の順番で整理してみてください。
毎月の収入と支出を確認する
借入残高と返済額を確認する
急な出費に備える預貯金を作る
子どもの進学時期を書き出す
ねんきんネットで年金見込額を確認する
教育費と老後資金の積立額を分ける
利用できる支援制度を調べる
余裕があれば資産形成の方法を検討する
年に一度、計画を見直す
毎月の積立額が少なくても、今の家計を把握することは無駄になりません。
まず数字を見えるようにするだけで、何となく抱えていた不安が、具体的に考えられる課題へ変わっていきます。
まとめ
教育費と老後資金は、どちらも大切です。だからこそ、どちらか一方だけに家計の余裕をすべて使うのではなく、必要になる時期に合わせて分けて準備することが大切です。
教育費は、進学先や通学方法によって変わります。世田谷区で暮らしている場合は、授業料だけでなく、塾や習い事、電車やバスの通学費なども見ておきましょう。
老後資金は、まず年金の見込額と住居費を確認すると、必要な金額を考えやすくなります。
貯蓄や投資を始める前には、急な出費に対応できる預貯金も必要です。家計に余裕がない時期は、無理に大きな金額を積み立てなくてもかまいません。
子どもの成長、転職、住宅購入などで、家計は少しずつ変わります。一度決めた計画を守り続けるより、その時々の暮らしに合わせて見直していくほうが現実的です。
今できる金額が小さくても、教育費と老後資金を分けて考え始めることが、将来の不安を減らす一歩になります。
注記 本記事は一般的な情報をまとめたもので、特定の金融商品や投資を勧めるものではありません。教育支援制度、年金制度、税制、NISAやiDeCoの条件は変更される場合があります。利用前に、学校、世田谷区、日本年金機構、金融庁などの公式情報をご確認ください。